アンプのRCA接続に問題があることが分かって
最近はCANAREの安いXLRケーブルで聴いているのですが、
それでも凄いことになっています。
今までの、私のシステムが俄然よく鳴り出した時に
出るような煌めくばかりの音色とか、
漆黒の空間から浮かぶように音が踊り出すような感覚とか、
あっという間に音楽の世界に引きずり込まれるような
そういう凄さはほとんどないのですが、
デジタル的オーディオ指標が全く頭に浮かばない音が
いとも簡単に出るようになっています。
過去に店頭視聴でこのレベルに達している音を2件ほど
聞いていますが、それらはどちらも夢の中にいるような
強烈な吸引力がありました。
今の音はそういう強烈な引力はないものの、
一度音楽を聞き出すと止め時を見失ってしまうよさがあります。
凄いと感じる強さはないけど止められなくなる、
電源を入れた当初からそういう音が出てくる、
聞いているとどんどんよくなってくるから止められない、
音楽に向かっていくと深いところまで入っていけるし、
何も意識しなくてもいつのまにか浸っていることに気付く、
そんな音です。
音の色は薄いのに
音の質感や音の色は過去最高レベルで生演奏に近いものに
なっている印象があります。
この薄さでこれだけ染み渡る音が今まで出ていただろうかと。
今まで凄い勢いで鳴り出した時の音というのは生演奏の時より
色が色濃く出ていて、それが再生システムでよく聞こえるには
必要だと思っていたのですが、こんなに薄い色で楽しめるように
なるとは思っても見ませんでした。
ちょうど無農薬野菜とRO水で出す旨味と、外食の濃い味付けで
旨味を演出するのと、そういう違いと同じようなものを感じます。
長く味わいたい私は今の薄口の方がいいです。
薄口だけど深く、響き方は弱いけど強く残る、
聞いている間から余韻が怒涛のように押し寄せるこの音は、
果たしてどのくらい続いてくれるでしょうか。
僅か4ヶ月前は聞いていられない音が出ていたとは思えません。
修理に出そうかと本気で思うほどうまく鳴らなかったのに。
機材を何一つ変えないでここまで音質が変わるのですから、
やはり機材をとっかえひっかえしている人では到達できない
クオリティというものがあるのではないかと思います。
セッティングが極まっていない時でも自分の気持ちを掴んで離さない、
そんな機材を選んでとことんまで使い倒してみませんか?