狼と羊皮紙の1巻と狼と香辛料の外伝も購入して読んでいるのですが、
いろいろあって書けなかったので今月発売された2巻の方を。
新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙II (電撃文庫)
発売日:2017/03/10
価格:¥702
狼と羊皮紙の登場人物
狼と羊皮紙の主人公は、前作の狼と香辛料でホロとロレンスに拾われ
一緒に旅をすることになったコルと、ホロとロレンスの娘のミューリ。
この二人がニョッヒラから旅立つところから始まります。
聖職者を志すほど世間知らずのコルと、賢狼ホロの血を受け継ぎ、
小さいけど聡明なミューリの二人旅という訳です。
何故、完璧なプロットだと思ったの?
1巻の方からずっとミューリがコルに言っていることがありまして、
兄様(コル)は世界の四分の一しか見ていない、というものがあります。
世界を男と女に分けて、女のことが全く分かっていないから二分の一、
人には善意と悪意があって、悪意に全く気が付かないからさらに二分の一、
合わせて四分の一しか見ていないという訳です。
これが今作では主題なのだと私は思っています。
で、若い世間知らずが旅をすれば、
当然厳しい現実に遭遇して凹まされる訳ですよ。
2巻は特に、ガチで容赦なく厳しいです。
お話の流れとしては前作と同様、今作ではコルの機転で村の人達が
一時的に救われる結果になるのですが、そこでミューリが言うんですよね。
以下の「」の部分が本文からの抜粋になります。
コルのしたことが、
「世界の半分の半分しか見てない、羊さんみたいな匂い」だと。
それは、
「不幸を耐える方法じゃなくて、幸せを増やす方法を探す」ものだと。
これって、
「みっともないところもいろいろあるけど、世間知らずの今のままでいい」
ってことなんですよね。
支倉さんの意図はもうちょっと深いところにあると思いますけど、
某大ヒット映画の主題歌が聴こえてきそうな勢いだなーと。
今の時代、一番受ける内容に仕上げてきた印象があったので、
完璧なプロットだなと思った訳です。
でも、ミューリが言ってる事自体は何も間違ってなくて。
辛いと思って現状に耐えていても、決して楽にはならないんですよね。
何かを変えようと自分で動き出さない限り状況は何も変わらないって、
動き出すことに資格なんて何もいらないって、
こんな大事なこと、誰も教えてくれませんでしたよ。
しかし今作は設定が狙いすぎというか
コルから見ればミューリは義理の妹で、
中身はホロと同じなのでしょっちゅう言い負かされる上に、
守ってもらうことすらある訳ですよ。
当然、好感度も最初から振り切れていますし。
一体、どこのギャルゲ設定ですかと。
今作はどのくらい売れるでしょう
文体や使っている言葉はラノベと少し離れたところにありますから、
みんなが疲れ切って癒やしを求める時代に
どこまで売れるかは何とも判断が難しいところだと思います。
あと、コルが聖職者を目指しているという設定上の縛りがとても厳しくて。
神様だ節制だ禁欲だなんて、そういう会話劇が日本で受けるとは思えなくて。
ホロとロレンスのあのやり取りを期待してると、
ちょっと肩透かしを食らうかも。
それでも設定上、どうしてもそのやり取りを入れざるを得ないのですが、
最後まで足を引っ張りそうだなと、そんな気がしています。
それを、ギャルゲ設定でどこまでカバーできるかが勝負になりそうです。