とにかく「いい音」を積極的に長く聞いていくことが
「良い耳」を獲得するのにとても大事だと思うのですが、
この「いい音」というものを定義するのはとにかく難しい。
楽器を弾く人なら正しく演奏できているかに気を取られるだろうし、
それ以外の人だったら自分にとって気分よく聞ける音で鳴っているかを
気にするだろうし。んで、その気分よく聞けるってのも、長く音楽を
聞いて獲得していくもので・・・、となると、もう何がなんだか。
客席で聴く音と奏者が聴く音と指揮者が聴く音とで
バランスも鳴り方も違いますからね。
どれが一番正しいかなんて議論することが不毛だと思います。
録音の仕方で録れる音の形は決まってくるのだから、
それに合わせて録っていくしかないだろうし。
なので個人的に分かっていることを1つだけ書きます。
私はクラシック畑の人の言う帯域バランスの正しさの評価は
ほとんど信用しないことにしています。
低域のブーストを99%の人が良しとするからです。
それと、クラシック音源で帯域バランスの判断ができる能力のある人は、
クラシック音源の編集者のみだと思っています。そのくらい難しい。
私ぐらい低域のブーストを毛嫌いしている人も少ないでしょうが、
そんな私ですらクラシック音源で判別できませんからね。
絶対無理。もう数百回となく低域をブーストした機材でクラシックを
流している状況に遭遇していますが、判別できた試しがない。
みんな騙されていることに気が付いてない。
なので、私はわかりやすい邦楽の打ち込み楽曲を持っていきます。
散々試聴に時間を掛ける私ですら一瞬で判別できます。
これをバイオリンがどうだとかチェロがどうだとか言ってたら
絶対に正しい判断なんて下せません。
私は分かりやすい音源で分かりやすいものだけ
判断していくのが最適だと考えています。
ジャンルは多いほどいい。
音場の形成が正しいかを確認したければワンポイント録音を、
音色が自分に合うかを確認するならチェンバロを、
金属質の響きが乗るかを確認したければボーカルの静かな曲を、
システムの幅を知りたいなら録音のいいものと悪いものを順番に掛けて
差がどのくらいあるかをチェックする・・・、
などと言ったように使い分けていくのがいいと思うんですよ。
ま、そうすると試聴に持っていくCDも
20枚くらいになるんですけどね・・・。
今はUSBメモリで済むので大変楽です。
SACDは持っていくしかないので諦めてますけど。
音の専門家だってろくに聞き分けできないんだから、
選ぶ側としては、素人でも分かるように
鳴らす音源の選択に骨を折るべきだと思うのだけど。